2020/06/06
9歳、パピヨンの男の子の症例です。
排便したいが便が出ないことを主訴に来院されました。
身体検査で右の肛門脇の膨らみを認めたため、直腸検査、レントゲン検査を行いました。
直腸検査では左右の筋肉の萎縮、直腸の拡張が認められ、レントゲン検査でも肛門の尾側変位が確認されたため、会陰ヘルニアと診断しました。
会陰ヘルニアは去勢をしていない中〜高齢のわんちゃんに多い病気で、肛門周囲(会陰部)の筋肉が萎縮することにより、その筋肉間隙に直腸や小腸、膀胱、前立腺などが逸脱してしまう病気です。
この子は膀胱や小腸などが逸脱しているわけではなかったので、ご家族と相談し計画的手術を行いました。
術式としては、縫縮法、内閉鎖筋フラップ、総鞘膜法を組み合わせて行いました。
術後、排便困難な症状は解消され、レントゲン検査でも肛門の変位は改善しています。